こんにちは!
今回は久しぶりに新しいETFの積立購入を開始したのでその話をします。買付け始めたETFとは、東証ETFの”2014”で、米国ETFの”DGRO”の日本上場版です。
日本人にはなじみの薄いですが、”DGRO”は米国で人気の米国増配株ETFです。増配株系ETFでもっとも有名なのはVIG(バンガード増配ETF)になりますので、それらとの比較もしていき、なぜ”2014”の積立を始めたか解説していきます。
それではどうぞ!!
東証ETF"2014”とは
正式名称をiシェアーズ米国連続増配株ETFであり2024年1月に設定されました。東証でのコードが2014となります。iシェアーズと冠されているのでお察しの通り、ブラックロックジャパンが運用している商品です。
Morningstar米国配当成長株式指数への連動を目指すETFであり、米国ETFの"DGRO"に投資するETFです。これまで"DGRO"へは日本から投資できませんでした。"2014"の登場により初めて"DGRO"へ投資するという選択肢が出てきており、現状では唯一のDGROへの投資手段です。2014の信託報酬は0.121%(税込)とDGROの経費率0.08%より若干高いですが、為替手数料がかからないのとSBI証券と楽天証券であれば売買手数料が無料なので許容範囲のコストかと思います。また分配金は年4回(3月、6月、9月、12月)出ており、米国ETFの支払月と同じです(決算月は各支払月の1ヶ月前とずれる)。
外部リンク・・・iシェアーズ 米国連続増配株 ETF
連続増配株ETF”DGRO”とは
ここでDGROとは何ぞや?という声が聞こえてきそうなので解説していきます。
ブロックロック社が運用する米国の連続増配銘柄のETFです。純資産額US$30.8billion(3月4日現在)、経費率0.08%と低コストなこともあり米国で人気のETFと言えます。上述したMorningstar米国配当成長株式指への選定基準は下の通り。
- リート(不動産投資信託)を除外
- 少なくとも5年連続で増配していること
- 予想配当利回り上位10%の銘柄を除外
- 配当性向が75%未満であること
連続増配株なので増配年数に関する基準があるのはもちろんのこと、株価が下がって配当利回り(配当金額÷株価)が高いだけの所謂罠銘柄の排除するための条件、配当性向(配当金総額÷当期純利益)が高過ぎて無理に配当金を出そうとしている銘柄を排除する条件も含まれています。連続増配しておりかつ財務優良な企業群のETFと言えるでしょう。
DGROとVIG、VYM、VOOの比較
連続増配株ETFと言えばVIGが有名です。ここから、他人気ETFとの比較をしていきます。
- DGRO(東証ETFにて日本に初上陸、ブラックロック社の連続増配株ETF)
- VIG(日本人にもお馴染み、バンガード社の連続増配株ETF)
- VYM(もはは説明不要?、バンガード社の米国高配当株ETF)
- VOO(泣く子も黙る米国S&P500連動ETF、バンガード社運用)
分配金と増配率
Stock Analysisから引用した各ETFの過去10年分の分配金実績と過去10年分の増配率はこちらです。結論から言うと直近分配利回りはVYMが、増配率はDGROが優秀です。
DGRO・・・直近分配利回り(2.18%)、過去10年平均増配率(8.92%)
VIG・・・直近分配利回り(1.68%)、過去10年平均増配率(7.20%)
VIGはDGROより選定基準が厳しいのですが、意外なことに過去10年間の平均増配率はDGROに劣後しているようです(逆なのを予想していました)。
VYM・・・直近分配利回り(2.69%)、過去10年平均増配率(5.60%)
VYMの分配利回りが3%を下回ってしまいました。連続増配系でないにも関わらず、過去10年間増配し続けていて優秀ですね。
VOO・・・直近分配利回り(1.26%)、過去10年平均増配率(6.26%)
さすがにVOOは2020年(コロナ禍)に減配しています。それでも平均増配率はVYMより高いのですね。やはりS&P500は優秀な指数だなと思います。
外部リンク・・・List of All ETF Ticker Symbols - Stock Analysis
キャピタルゲインとトータルリターン
portfoliovisualizerより各ETFでのキャピタルゲイン(値上り益)、トータルリターン(値上り益+分配金のリターン)を比較します。
2016年にUS$10000投資したときの分配金を除いたリターン(値上り益)はこちらです。パフォーマンスはVOO>VIG>DGRO>VYMの順です。分配金利回りが低いほど値上がり益は高いと言えます。
次は分配金再投資した場合のトータルリターン(分配金含む)はこちらです。パフォーマンスはVOO>VIG≒DGRO>VYMの順です。分配金利回りが高い分VIGとDGROの差がほぼなくなりました。VOOのパフォーマンスが相変わらず高いのはもちろんのこと、VYMは分配金を含んでも他ETFに劣後しています。
外部リンク・・・https://www.portfoliovisualizer.com/backtest-portfolio
重複銘柄
ETF Research Centerのサイトより各ETFの銘柄重複率を確認します。こちらのサイトでは、下図のように銘柄の重複とセクターの比率の違いを計算してくれます。
各ETFの銘柄重複率のまとめが下表の通りです。
表の見方は、縦の銘柄に対して横の銘柄が○%重複するかです。例えばDGRO407銘柄に対しVIG65.1%の銘柄が重複すると読み取れます。逆にVIG341銘柄にDGRO78.4%の銘柄が重複しています。DGROとVIGはコンセプトが似ているため重複率がかなり高いですね。
DGROとVIGについては、コンセプトが似ていることもあり、合わせて保有する必要はないかと思います。
重複率が低いのは、VOOに対するVIG、VYMに対するVIG、VYMに対するDGROってことになりますね。双方の重複率が唯一50%を下回っているVOOとVYMは組み合わせとしてGOODかと思います。
ただ、このサイトの見方には注意点がありまして、SCHD(100)とVYM(537)のような銘柄数に差があるETFを比較する場合、重複率が極端に小さく出てしまいます。詳細はここでは割愛しますが、SCHDとVYM双方の重複率が21%、SCHDに対するVYMの重複率が87.6%になります。双方の重複率だけ見て銘柄重複率が低いというのは誤りかと思います。
外部リンク・・・Fund Overlap | ETF Research Center
2014は優良ETF。こんな人におススメ!
ここまでの内容を整理したものを下表に示します。各項目で最も優れているETFを赤文字、劣後してるETFを青文字で表示しています。
下で色々書いていますが、私は2014(DGRO)を優良ETFと判断し、先月より毎月40口(1万円前後)積立てることにしました。
純資産額はVOOが断トツで大きく、日本円に換算すると90兆円超の巨大ETFです。DGROは今回ピックアップしたETFの中では最も小さいですが、それでも日本円で4兆円超の人気ETFであり、繰り上げ償還の心配は全くありません。
銘柄数は最も少ないVIGでも300銘柄以上なので、十分に分散がされています。
経費率はDGROが最も高いですが、0.08%と十分に低コストなので、こちらも気にする必要はりません。
2024年の分配率(分配金利回り)はVYMが高く、VOOが低いのはそもそもVYMは唯一の高配当株ETF、VOOは市場平均インデックスなので当然の結果です。
過去10年の平均増配率はDGRO>VIG>VOO>VYMと上でも書きましたがVIGがDGROに劣ったのが意外でした。VIGは10年連続増配銘柄しか選定されないのでDGROより増配率は上回ると思ったのですが・・・
年率収益率(トータルリターン)は分配金除く場合VOO>VIG>DGRO>VYM、分配金含む場合はVOO>VIG≒DGRO>VYMでした。現在の分配金利回りが高いとトータルリターンが低いというのはあるあるの傾向ですね。
標準偏差はリスクとよばれるもので大きいほど値動きが大きくなります。ワーストイヤーの株価下落も標準偏差が大きいほど大きくなる傾向にあります。標準偏差はVOOが大きくVIGが最も小さいですが、ワーストイヤーはVYMが最もダメージが小さかったです。VYMがDGROとVIGより下落耐性が高いのは意外でした。
シャープレシオはリターン÷リスクで計算した値で、値が大きいほど優秀なETFになります。VIGはVOO以上のシャープレシオなのでとても優秀ですね。
最後に買付方法ですが、VOOはS&P500なので米国ETFでも東証ETFでも投資信託でもいくらでも選択肢はあります。VIGとVYMは米国ETFか投資信託、DGROは東証ETFでのみ買付可能です。投資信託版が出てくるかはわかりませんが、私個人としては米国ETFを買付けられるようにして欲しいですね。
マハトマが個人的に2014をおススメする人は下の通りかと思います。
VIGより高配当の増配株投資をしたい人
増配株ETFに投資したいけど、VIGの利回り(1.68%)では物足りない。と言う人は現在の利回りも若干高く(2.18%)で増配率もVIGと同レベルのDGROには十分に投資妙味があると思います。
投資信託でなく、”優良なETF”で投資したい人
私は個人的に高配当株投資を含む分配金をもらう投資をする場合は、ETFでの投資をおススメしています。その理由は、投資信託は株の配当収入以外から(株の値上がり益、ファンド内の積立金など)でも運用会社の方針によって分配金を出せてしまうから。つまり、たこ足配当をできてしまうからです。一方ETFは配当収入がそのまま分配金になるよう定められた商品です。そのため、優良なETFで投資したいという人には良い商品だと思います。
話は変わりますが私が楽天SCHDやSBISCHDに現状投資しないのは、ETFと同じように普通(健全な)分配金を出しているか、たこ足配当(特別分配金)しているかがまだわからないからです。運用報告書を確認して健全な運用しているかわかれば投資するかもしれませんが、現段階は様子見です。
確定申告をしたくない人
米国ETFを含む外国株は現地課税(米国で10%)と日本の課税(20%)が二重でかけられ、米国ETFはトータル28%強の税金が分配金から源泉徴収されます。源泉徴収された税金は確定申告で一部取り返せる(所得により全額取り返せると限らない)のですが、2014は二重課税調整制度(外国の課税分を差し引いてトータルで20%に税金を調整してくれる)の対象ETFです。確定申告の手間が発生しない上、専業主婦など所得が高くない人にとっても税金を取られ過ぎるリスクがないため、良い選択だと思います。
追伸・・・分配金の支払月について、2月、5月、8月、11月である情報を記載していましたが、実際には米国ETFと同じ3月、6月、9月、12月であることがわかりました。誤った情報を記載して申し訳ありません。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。